悪い姿勢になる原因

悪い姿勢になる原因
mike

ここでは悪い姿勢になる主な原因について解説します。toraさんは自分の姿勢がいつ、どうして悪くなったか覚えていますか?

tora

え?  突然そんな事言われても・・・ いつのまにか悪くなったような気がするけど。

mike

そうです。「いつのまにか」姿勢は悪くなるものなのです。その為にはっきりとした原因もわかりずらいのです。

tora

なるほど。でも原因がわからなければ、矯正しても元の悪い姿勢に戻ちゃうかもしれないから、できれば知っておきたいね。

 「何故、自分は悪い姿勢になったのか?」というのは、治療室でもよく聞かれる質問の一つです。

 原因は親からの遺伝だ、と言われる方もいらっしゃいます。子供の姿勢は親と似るケースが多いからです。しかし、私自身は遺伝によるケースはそれほど多くはないと考えています。

 なぜなら、多くの場合姿勢は矯正する事ができるからです。もし遺伝が原因であるならば、骨格から変形しているはずですから、手術でもしないかぎり矯正は不可能だという事になってしまいます。そして、もちろんそんな事はありません。

 では、具体的にどのような事が原因で悪い姿勢になるのでしょうか。ここではその答えを考えていきます。

目 次

悪い姿勢になる主な原因は座り方の習慣にあり

 悪い姿勢なった原因を探る事は簡単な事ではありません。

 例えばケガなどであれば「ころんだ」などの明確な原因があるものですが、悪い姿勢は長期間少しずつ変化するものですから、特定の出来事が原因である場合はまずないからです。

 特定の出来事が原因でないならば、毎日繰り返し行っている事、つまり日常の生活習慣に原因は潜んでいると考えるのが妥当です。

 又、そのように考えれば、子供と親の姿勢の似る理由も説明がつきます。子は親の生活習慣を、見て、真似て、育ちます。 もし悪い姿勢になる習慣を親が持っていれば、子供もその習慣を真似るようになってもおかしくありません。

 では、そうだとしたら、どのような生活習慣が悪い姿勢の原因となるのでしょうか。まずは下の円グラフを見てください。

日常している姿勢グラフ

 上のグラフは、私の治療室で「日常的に一番長く過ごしている姿勢はなにか」をアンケートした結果です。グラフを見ると、8割の人が「座り姿勢」であると回答しています。

 姿勢は、長い時間かけて変形するものですから、その原因も一番長く過ごしている習慣にあるはずです。現代生活では仕事・勉強・食事・テレビを見る等、みんな座り姿勢です。

 このような事から、悪い姿勢になる主な原因は、座り方の習慣に隠されている可能性が高いと言えます。

肩を丸めて頭を突き出す座り方

 では、具体的にどのような座り方をしていると悪い姿勢になるのでしょうか。その典型的な例を紹介しましょう。

頭つき出し姿勢イメージ

  上図をご覧ください。左の図は正しい座り方、そして、右の座り方が、典型的な悪い姿勢になる座り方です。

 この肩を丸めてアゴを突き出した座り方を、ここでは頭つき出し姿勢と呼んでいます。

 大抵の方は座って集中して作業をしていると、これと同じような座り方になってしまいます。そうなる原因には人間の生物としての特性が関わっています。

 生物には、感覚器官を情報源に近づけようとする本能のようなものがあります。 犬が匂いをかごうと対象に鼻をすりよせているのはよく見ますね。そして、人間にとっての一番重要な感覚器官は「目」です。ですから、パソコンなどの目で行う作業をすると、無意識にそれに目を近づけて「頭つき出し姿勢」になってしまうのです。

tora

うわー、確かにこの座り方はよく見るぞ。

mike

いまこのホームページを読んでいる方の姿勢が、まさにそうかもしれませんね。それぐらい習慣になりやすい座り方なんです。

悪い座り方から猫背になる過程

 姿勢は全体が一度に変化するわけではなく、からだの一部分から始まり、それから全身へと広がっていきます。

 先の例の「頭つきだし姿勢」は頭から肩だけの部分的な変化ですから、厳密にはまだ悪い姿勢ではありません。つまり、これがきっかけとなり、からだ全体が変化して、本当の悪い姿勢になるのです。

 次は部分的な変形から悪い姿勢へと変化する典型的な過程を見てみましょう。例としてここでは「頭つきだし姿勢」から「猫背」になる過程を紹介します。

1.重心のズレを安定させる

 もし人間が座っているだけの生物であったなら、「頭突き出し姿勢」により肩が丸くなっても、変形はここ止まりだったかもしれません。しかし、人間は二足歩行をする生物です。

頭つき出し姿勢で直立
頭つき出し姿勢のまま直立したと仮定した図

 上図は、仮に「頭つき出し姿勢」のまま立ち上がったらどうなるのかを示した図です。見るからにからだが不安定なのがお分かりいただけるでしょうか。

 自分でやってみるとわかりますが、重心が前に傾いて、かなり不安定に感じるはずです。座っている時は、下半身は椅子に固定されているので、頭を前に出しても安定していましたが、立つと下半身を支えるものはありませんので、重心が前にぶれてしまうのです。

 では、この不安定な状態を改善させる為にはどうしたら良いのでしょうか。その答えは下の図をみるとわかります。

2.おなかを出すと、猫背になる

頭つき出し姿勢から猫背姿勢へ変化

 上図は、突き出た頭を安定される為にお腹を前に突き出した姿勢です。つまり、頭の移動に合わせてお腹(下半身)も前に動かす事で、全体のバランスを安定させたのです。

 注目して欲しいのは、頭とお腹が前に出た事で、背中が「くの字」状になり、背中の丸い猫背姿勢になった事です(図右)。

 当然、頭の突き出る程度が強まれば、それを安定させる為にお腹も前に出る事になり、猫背の程度も強まる事になります。

 この例のように、からだの一部の変形を安定させる為に、全身の姿勢が変形するという過程は、悪い姿勢に至る典型的なパターンです。

 変形の始まりの多くは肩・首ですが、時には腰や足首から始まる場合もあります。部分的な変形と全体の変形は、相互に関連しあって変形の度合い強めていくのです。

悪い姿勢は「いつの間にか」なるもの

頭つき出し姿勢イメージ
対象物に頭を近づけて座る「頭つき出し姿勢」

 姿勢は少しづつ変化するものです。ですから、だらしなく座っていたのが数週間以内でしたら、せいぜい一日の終わりに「あれー、今日は肩こったなー」ぐらいで、姿勢が変化する事はないでしょう。

 悪い姿勢になるは、悪い習慣が数年以上続いた場合です。

 悪い姿勢への変化は、スポーツ選手が日々トレーニングに励む事で筋骨隆々の体をつくるのに似ています。

 日々の生活習慣がスポーツ選手でいうところのトレーニングです。悪い姿勢を支える筋肉は発達し、逆に必要のない筋肉は衰えていきます。そして靭帯や腱などが悪い姿勢に最適化してしまうと、もう元の姿勢には戻れません。

 問題は、姿勢が変形している過程で本人が気付く事はまずないという点です。

 通常日々の習慣は無意識に行っていますから、本人は悪い事をしているという意識がありません。さらに、変化はとてもゆっくりですから、日常に完全にとけ込んでしまい、周りも本人も気付かないのです。

 そして、完全に変形した後、鏡で見たり又は人に指摘されるなどして、はたと姿勢の悪くなった事に気づく事になります。このように、本人も気付かず「いつのまにか」なるのが悪い姿勢なのです。

 姿勢の変化が始まる年齢は、座っている時間の多くなりはじめる小学生高学年くらいからです。この時期から変化が始まったのならば、思春期になる頃には本人も気づくほどの悪い姿勢になっているでしょう。

  次に多い時期は、20歳前後の社会人になりたての頃です。 これは仕事で座る時間が長くなる事が原因です。この時期から変化が始まれば、30歳前後には完全に悪い姿勢になっています。

悪い姿勢になりやすい他の生活習慣

生活習慣イメージ

 悪い姿勢になる主な原因は、座り方の習慣にあると考えられますが、それ以外にも悪い姿勢になりやすい生活習慣があります。ここでいくつか紹介しましょう。

スマートフォンをのぞき込む習慣

 スマートフォンの使い方が原因で悪い姿勢になる方が近年増加しています。画面をよく見ようとして、のぞきこむように頭をスマホに近づけている方をよく見ますが、これは先に紹介した「頭突き出し姿勢」とほぼ同じかたちである為、猫背になる典型的な原因となります。

からだを反らす習慣

 立って作業などをしている時、必要以上にからだを反らしてしまう習慣です。

 習慣に気づく為のサインは、「台所で作業をしていると、お腹がつねにシンク(作業台)に密着している」「立っている時、いつもカカトに体重がかかっている(正常であれば足の裏全体に体重がかかる)」「長時間立っていると腰がすぐ痛くなる、ふくらはぎが疲れる」 「体重より太ってみられやすい」などがあります。

日常的に胸を張る習慣

 いつも姿勢を気にしている人に多い習慣です。この習慣については下の記事で詳しく解説していますので、ここでは簡単に留めます。

 習慣に気づく為のサインとして「いかり肩である」「姿勢は良いのに首・肩はコリやすい」「呼吸が浅く息苦しくなる時がある」「ストレートネックだと言われる」などがあります。

心理的なストレスも悪い姿勢になる原因

心理的な問題で悪い姿勢に

 
 悪い姿勢になる原因は生活習慣以外にもいくつかあります。その中でも、心理的なストレスによるものはよく見られる原因です。

 心理的ストレスと姿勢との間に深い関係性があるのは、心理学の世界では昔からよく知られていました。

 その中でも特に有名なのが「ストレス姿勢」です。人は強い心理的ストレスに晒されると、そのストレスから自分を守ろうとします。その時、頭を縮めて肩を丸めたような姿勢(つまり猫背)、「ストレス姿勢」になるのです。

 私の治療室においても、姿勢の変形に心理的なストレスが関わっているのではないかと疑われるケースは、全体の二割程に及びます。これは決して少ない割合ではありません。

 では、こういった方々は、心理的な問題を解決しないと姿勢矯正は出来ないのでしょうか。

 私自身は、心理的な問題はそのままでも矯正はできると考えています。

 「ストレス姿勢」は頭を縮めて肩を丸めた姿勢です。これは先に解説した「頭つき出し姿勢」とほぼ同じ形ですから、通常と同じ方法で矯正可能です。

 実際、私の治療室では、心理的なストレスにより悪い姿勢になった方も通常通り問題なく矯正を行えています。

 もろちん、根本的な心理的なストレスを解決しなければ、再び悪い姿勢に戻るかもしれません。

 しかし、心とからだのつながりは、にわとりとタマゴのような相互依存の関係で、からだが良くなると心の状態もよくなる場合もあります。そういった意味で、姿勢矯正には心理的にも良い影響を与えると私は考えています。

まとめ

mike

ここまで悪い姿勢の典型的な原因をまとめました。

tora

ほとんどの原因は、日常生活の習慣にあるって事だね。

mike

そうです。習慣は無意識に行ってますから、それに気づくのは難しいですが、矯正がある程度進むと、自然に気づく場合もあるようです。

tora

へー、どうしてかな?

mike

悪い姿勢のかたちに過敏になるからだと思います。もちろん、本人に気づこうという意識があってこそだとは思いますが。

tora

原因は後から気づく場合もあるって事だね。

最後にポイントをまとめます。

  • 悪い姿勢になる原因は、多くの場合生活習慣に潜んでいる。
  • 現代の生活様式を考えると、座り方の習慣が原因である可能性が高い。
  • 頭を前に突き出して肩を丸める「頭つき出し姿勢」の座り方が猫背になる主要な原因。
  • 悪い姿勢は部分的な変形から始まり、それから全身に広がる。
  • 悪い姿勢は「いつのまにか」なるもの。
  • 心理的なストレスから悪い姿勢になる場合もある。
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