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美しい姿勢には二種類ある

 問題点こそありますが、胸を張った姿勢が美しい姿勢である事は間違いありません。
  「美しさこそ一番」と考えるような人にとっては、胸を張る姿勢は、特に適した姿勢と言えるでしょう。
 しかし、このように考える人にも、知っておいて欲しい事があります。それは、胸を張る姿勢だけが美しい姿勢ではないという事です。
 
 "美しい"姿勢には、大別して二種類あると私は考えています。

  • 胸を張る姿勢
  • 直線姿勢
胸を張った姿勢 垂直に近い姿勢姿勢 

美しい姿勢二種類 左)胸を張った姿勢形 右)直線姿勢

 当然一つは、図左の「胸を張った姿勢」です。メリハリがある美しい姿勢ですね。
 そしてもう一つは、図右の「直線姿勢」です。いわゆる背筋の伸びた姿勢※1で、メリハリはありませんが、落ち着いた美しい姿勢です。
 これら二つの姿勢は、ある条件によって無意識に使い分けられています。
 その条件とは、服装です。
  洋服をより美しく見せる姿勢が、胸を張る姿勢、
  和服をより美しく見せる姿勢が、直線姿勢なのです。

 この事を理解する良い例が、和装、洋装のマネキンです。通常、洋装を着せるマネキンは胸を張った姿勢に造形されていて、和装を着せるマネキンは直線姿勢に造形されています。

左)洋服用のマネキン 右)和服着付け用マネキン

上の図で示した左が洋装のマネキン、右が和装のマネキンです。洋装のマネキンが胸を張っている姿勢で、和装のマネキンは直線姿勢である事がわかります。この事から服飾文化と姿勢には、大きな関連性がある事がわかりますね※2。
 この服飾による姿勢の違いは、それぞれの服装の持つ思想の違いからくるものだと私は考えています。
 洋服の美は、体の美しさをより強調する思想で作られているように思われます。身体のラインの美しさをきわだたせるのにメリハリのある胸を張る姿勢が適しているのです。
 一方和服の美は、身体のもつ美しさを表に出さない思想で作られているように思われます。身体の美は下地として利用するだけで、服装そのもので美を演出しています。よって身体の形が目立たないよう、直線姿勢が適しているのです。
 これら姿勢の美しさを一言で言うと、

胸を張った姿勢は、デフォルメ(強調)。
直線姿勢は、自然。

 という言葉で表せると思います。
 デフォルメした姿勢は、ダンスなどの芸術の世界ではよくみられる姿勢です。例えば、フラダンスやベリーダンスでは、腰から臀部にかけての動きを強調する為、独特の姿勢をとります。身体を表現媒体とする場合、デフォルメは必須です。しかし、デフォルメするという事は、自然の状態とは異なりますから、大抵の場合、身体の一部に大きな負担をかける事になります。
 一方直線姿勢は、自然である故、そのままではぱっとしない姿勢かもしれません。しかし、身体のあるがままの美しさという胸を張る姿勢にはない別種の美しさががあると私は思います。そして、あるがままですから、不自然な身体的負担はかかりません。
 まとめると、以下のようになります。

胸を張った姿勢 = デフォルメ = 身体負荷強い
直線姿勢 = 自然 = 身体負荷なし

 私がよりオススメする姿勢は、後者の直線姿勢です。理由は一つ、身体的負荷がないからです。体に楽という事は、とても重要な事です。
 胸を張っている姿勢はとても疲れる姿勢です。これは自分で胸を強く張ってみればわかるでしょう。背筋を強く収縮しないいと、胸を張る姿勢は維持できません。この身体的負荷は、肩こり・腰痛・頭痛・冷え・息苦しさにつながっていきます。治療室の統計では、胸を張った姿勢は生理痛などの婦人科系疾患との関連も深い事が分かっています※3
 又、人は誰でもいずれ老化して、少なからず身体の力は衰えていきます。力を必要とする胸を張る姿勢はいつまでも維持できるものではありません。いずれ胸を張る力が衰えれば、自然に胸の位置は下がってきます。すると背中の形は"L"から"く"となり、いつのまにか猫背となって、典型的な年老いた姿勢になってしまうという皮肉な結果にもなります。
 一方、直線姿勢は、力を必要としない姿勢ですので、歳をとって身体が衰えても、その姿勢を維持できます。それだけでなく、健康でもあるわけです。
  これらの理由から、美しい姿勢として、直線姿勢の方がよりオススメできるのです。※4



補足メモ

※1 背筋の伸びた「直線姿勢」といっても、本当に背中が真っすぐなわけではありません。人の背中は、生まれつき全体が"S"の字にわん曲しています。これを「生理的わん曲」といいいます。ここでは、胸を張る姿勢に対比させる為、"直線"という言葉をあえて使っています。
※2  先に「胸を張る=美」という概念は、200年以上前からあったと解説しましたが、日本においては、せいぜい50〜60年ぐらい前、わりと最近普及した概念である可能性が高いと考えています。理由の一つとして、昭和初期ぐらいまでの古い日本人の写真を見ると、あまり胸を張った人は見受けられないからという事。もう一つの理由は、着物文化が古くから日本にはあった事です。特に後者の理由から、洋装が広く普及した時代から、胸を張るという概念が日本で広まっていったのではないかと私は考えています。では、それはいつ頃からでしょうか。以下はウィキペディアより引用です。

 第二次世界大戦が終わった1945年以降の女性達は、空襲がなくなったので、所持していたが着られなかった和服を着るようになった。‥(中略)‥しかし、和服が高価であり着付けが煩わしいことなどが原因となってか、安価で実用的な洋服の流行には敵わず、徐々に和服を普段着とする人の割合は少なくなっていった。


 このように、第二次大戦後1945年以降ぐらいから洋装が日常化して和装をする人が減ってきたようです。よって1950年代くらいから「胸を張る」という概念が日本に浸透してきたと思われます。又、日本が西洋式軍隊を取り入れたのも一因かもしれません。西洋式軍隊の立ち姿勢は、まさに「胸をはる」姿勢だからです。
※3 胸を張る姿勢と健康問題についてはコチラで詳しく解説しています。
※4 この健康で美しい直線姿勢こそ、このホームページにおける「正しい姿勢」です。
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