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姿勢と健康

悪い姿勢と健康

 悪い姿勢は、見た目の問題として扱われる場合がほとんどです。しかし、見た目は表面上の問題でしかありません。 悪い姿勢の本当の問題、それは健康を害する事です。実際、姿勢矯正を目的で私の治療室に来院されるほとんどの方は、慢性的な腰痛・肩こり・頭痛などの症状を訴えています。しかも、悪い姿勢の程度に比例して症状も強い事が多いのです。

 最近の健康ブームのおかげで、姿勢と健康との関係は少しづつ注目されるようになりました。しかし、具体的な症状との関係については、ほとんど知られていません。

 そこで、悪い姿勢と種々の症状との関連性を、私の治療室に来院された患者さんのデータを用いて分析※1してみました。ここでは、その結果を用いながら症状別に解説していきます。

 まずは、全体をおおまかに解説しますが、もし、特定の症状のみの関係を知りたい場合、文末に各論へのリンクを用意していますので、ここをクリックするか、文末までスクロールしてリンク先をご覧ください。

猫背になると肩・首こりになる

肩こりイメージ

 悪い姿勢による一番多い症状は、なんといっても首・肩のコリでしょう。特に背中から肩の丸い人、つまり猫背の人に多い症状です。では、どうして背中が丸くなると肩コリになるのでしょうか?

 原因はいくつかありますが、ここでは主な原因である頭と首の位置関係のズレについて紹介します。

 頭と首の位置関係は、姿勢全体の中でも特に重要です。何故なら、頭は大玉スイカ(3〜5kg)ほどの重さがあるにも関わらず、それを支える首は細く弱い構造だからです。その為、安定した位置関係でないと、首は頭を支えきれません。

頭と首の関係をスイカと支柱に例えると

頭の重さは大玉スイカと同じぐらい。

 では、一番良い頭と首の位置関係はどのような状態でしょうか。それは上図のように頭と首が直列した状態です。この位置関係は、姿勢全体から見ても理想的だと言えます。

 しかし、猫背になり肩が丸まると、頭は前にずれてしまいます。すると下図のように、斜め後ろから首が頭を支える状態になってしまうのです。

頭突き出し姿勢になると頸部緊張

猫背になると首だけでは頭を支えきれない

 これでは首は頭を支えきれませんから、何か別の力で補助する必要があります。そこで働くのが首から肩の筋肉です。しかし、筋肉は骨と違って働き続ければ疲労します。そして、その疲労の蓄積が肩こりになるのです。

 下図は、私の治療室のデータから分析した「猫背と肩こりの関係」を示したグラフです。

猫背の度合いと肩こりの関係グラフ

 グラフの横軸は猫背の程度を角度で示したもの、縦軸は肩こりの人の比率を表します。 グラフの右にいくほど猫背の程度が強くなると考えて下さい。グラフを見ると、特に背中の丸くない左端では肩こりを訴える人は半数程度ですが、背中の丸さが増すにつれて肩こりを訴える人の割合が増え、右端になると7割以上の人が肩こりを訴えています。 このような事実からも、猫背と肩こりは比例関係にあると言っていいのです。

あごが上がると頭痛になる

頭痛イラスト

 頭痛も、悪い姿勢による典型的な症状です。しかし、全ての頭痛が悪い姿勢と関係しているわけではありません。 悪い姿勢による頭痛は、主に緊張性頭痛(きんちょうせいずつう)です。 緊張性頭痛とは、首や肩のコリが原因でなる頭痛です。コリの痛みにより神経が刺激され、後頭部から頭頂部にかけてガンガンとした鈍痛を引き起こします。痛みがひどくなると、目の奥もうずくようになり、さらにははきけやめまいなどを伴う事もあります。

 この頭痛は肩こりになりやすい猫背の人に多いのですが、それ以上に頭痛になりやすい姿勢があります。それはアゴの上がった姿勢です。写真をとる時に「アゴを引いて」と言われた経験のある方は多いと思いますが、 そのような方は、この姿勢である可能性が高いと考えていいでしょう。

 では、何故アゴがあがると頭痛になるのでしょうか。それは、アゴが上がる事で後頭部のつけねにある大後頭神経(だいこうとうしんけい)という神経が圧迫されるからです。

大後頭神経

後頭部のつけねにある大後頭神経

 上図で示したのが大後頭神経です。神経が後頭部にかけて伸びている事がおわかりいただけるでしょうか。 アゴが上がると、この大後頭神経が圧迫される事で頭痛になるのです※2。治療室の統計では、アゴ上がりの姿勢の人は、そうでない人と比べて2倍頭痛になりやすいという結果が出ています。

 このアゴ上がりの姿勢、実は悪い姿勢になるとほぼ伴う変形なのですが、 猫背の人は、ほぼ100%このアゴ上がりの変形が伴いっています。その理由を簡単に説明しましょう。まずは下の図を見て下さい。

姿勢による頭痛解説イラスト1

(図左)正しい姿勢 (図右)肩の丸い姿勢

 上の図は、肩が丸まると、どのように頭の位置が変化するのかを示した図です。正しい状態(左)から肩だけを丸めると(右)、それに合わせて頭も前に傾く事がわかります。しかし、このままでは目線は下がり、前を見る事が出来ません。そこで正面を見るために、必ずアゴを上げる事になります。

姿勢による頭痛解説イラスト2

正面をみる為にアゴを上げる

 上図のように、視線の下がった状態(左)からアゴを上げる(右)と、肩を丸めながらも目線を正面に向ける事ができます。つまり、猫背とアゴ上がり姿勢は、ほぼセットの動作なのです。

 このように、猫背は肩こりになりやすいだけでなく、アゴも上がりやすい姿勢ですから、もっとも緊張性頭痛になりやすい姿勢だと言えます。

反り腰になると腰痛になる

腰痛イメージ

 腰痛も、悪い姿勢による典型的な症状です。 特にお腹を前につき出して腰を反らす姿勢、「反り腰」になると腰痛になりやすい傾向があります※3。 その主な理由は以下の2つです。

  • 腰の筋肉が緊張する
  • 背骨のストレスが強まる

筋肉が緊張する
腰の反りによる腰の筋肉緊張イラスト

反り腰になると筋肉は緊張

 胴体を支えている主な筋肉は腹筋と背筋です。図左の正しい姿勢の場合、腹筋と背筋はそれぞれ同程度の力を発揮してバランスよく姿勢を維持しています※4。しかし、図右のように反り腰になると、背筋はバネを縮めたような状態になり、緊張状態になります。このような状態が長く続けば、腰の筋肉は疲労して腰痛になってしまいます。

背骨のストレスが強まる
腰が反ると腰の関節の負担増加イラスト

反り腰は腰の関節を締めてしまう

 反り腰になると、背骨にかかるストレスも強まります。上の図を見てください。右の反り腰になっている姿勢は、左の正しい姿勢と比べて腰の背骨が折れ曲がっています。 折り曲げられた部分には締め付けの圧力がかかり、背骨を痛めて腰痛になってしまうのです。


 以上、反り腰になると腰痛になる理由を2つ紹介しました。悪い姿勢による腰痛は、大抵この二つの原因が合わさっておこると考えて間違いないでしょう※5

からだが反ると、むくみ・冷え・しびれがおきる
冷えむくみイラスト

 悪い姿勢になると、からだが冷えたりむくんだりするようになります。もちろんこういった症状は、ホルモンバランスなどのからだの内側の問題が原因である場合もあります。しかし、下半身の冷えとむくみに限定すれば、かなりの確率で悪い姿勢が関わっていると言っていいでしょう。

 そう言える理由は、下のグラフにあります。

お腹の突き出し度と冷えむくみの関係グラフ

 グラフは、悪い姿勢と下半身の冷え・むくみの症状との関係を示したグラフです。グラフの右にいくほど悪い姿勢になると考えてください。 グラフ左端の正しい姿勢では、冷え・むくみを訴えている人は2割以下です。 しかし、悪い姿勢の程度が増すにつれ症状を訴える割合も増加して、グラフ右端の完全に悪い姿勢になると、7割近くの人が冷え・むくみを訴えている事がわかります。

 グラフをもう少し詳しくみてみましょう。悪い姿勢の程度を示す水平軸を見ると「お腹突き出し度」と書いてあります。 これは、「からだの反り返り」の程度を示しています。 つまり正確に言うと、「からだの反り返り」の程度と、下半身の冷えとむくみは、ほぼ正比例の関係だと言えるのです 。

 しかし何故、これだけ明確な関係性があるのでしょうか。それは、からだの反り返りに比例して下半身の筋肉が緊張するからです。下図を見てください。

体が前傾すると下半身の負担が増加

前傾すると下半身は緊張

 図は、からだの反り返りによる筋肉の働きの変化を示しています。からだが反り返ると、下半身は前に傾いた状態になります。 すると、前倒しになったからだを支える為に、図右の赤い部分を中心とした筋肉が緊張した状態になってしまうのです。

 下半身の筋肉の緊張は、その内部にある血管を締め付けて循環を滞らせ、ひえやむくみの症状をひきおこします。

 この下半身の循環機能の低下は、足に「しびれ」の症状を引き起こす原因にもなります。 通常、足のしびれは座骨神経痛や椎間板ヘルニアによるものと考えられていますが、 単純に下半身の緊張と循環機能の低下により、しびれ(に似た症状)が出ている場合も多いのです。 私の治療室でも、神経痛の治療を受けても治らなかったしびれが、姿勢矯正をしたら改善したというケースは多く見られます。

 この「からだ全体の反り返り」は、冷え・むくみ以外にも多様な症状を引き起こす原因になっています。 以下に紹介する2つの症状も「からだ全体の反り返り」が原因です。

悪い姿勢になると下痢や便秘になりやすい

 悪い姿勢になり、からだの反り返りが強まると、消化器系の働きが悪くなる事があります。 下図を見てみましょう。

消化器系の働きの低下イメージ

姿勢が悪くなると、腹筋の筋力は低下する

 上図は、姿勢と内臓の働きの関係を示した図です。左の正しい姿勢の場合、腹筋は適度に緊張しており、お腹の圧力は正常に保たれていて内臓の働きを補助しています。 しかし、右のからだが反り返った姿勢になると、腹筋は上下に引き延ばされた状態になり、腹筋の力は弱まります。 そうなるとお腹の圧力も下がり、内臓の働きが弱まってしまうのです。具体的には、消化器の機能が低下して、便秘や下痢になりやすい傾向があります。

悪い姿勢になると緊張して疲れやすくなる
緊張した体イメージ

 悪い姿勢になり、からだ全体が反ると、疲れやすくなる傾向があります。特にからだの背面、つまり首から背中、ふくらはぎにかけてが疲れやすくなります。

反り返ると背面緊張

 上図は、からだが反り返ると全身の筋肉がどう働くのかを示した図です。 左の正しい姿勢は、からだはほぼ直立で、お腹と背中側の筋肉もバランスよく働いています。一方、右の反り返った姿勢(ここではその代表として胸つき出し姿勢)は、からだ全体が弓なりになり、背中は上下に短くなっています。筋肉は短くなると、収縮して緊張してきます。つまり、背中全体が疲れやすくなってしまうのです。

 又、背骨に体重が乗らなくなってしまうのも、疲れやすくなる原因の一つです。

体重がかかる場所

 上図は、体重の通り道(赤線)を示した図です。左の正しい姿勢の場合、線は背骨にそって足下に抜けていますから、負担は主に背骨だけにかかる為、筋肉の負担は少なく疲れにくい状態です。一方、右の悪い姿勢は、体重の通る線が所々背骨の外にはみ出ています。 はみでたところでは筋肉に負担が強まり、そのぶん疲れやすくなってしまうのです(線のはずれる所が肩と腰である点にも注目)。

 このように、「からだ全体の反り返り」は様々な症状の原因となっています。そして実は、悪い姿勢全てに共通している変形が、この「からだ全体の反り返り」なのです。つまり、「冷え・むくみ」「内臓の働きの低下」「疲れやすさ」は、全ての悪い姿勢に共通して出やすい症状だと言えます。

胸が上がると息苦しくなる
呼吸が浅くなるイメージ

 悪い姿勢になると、「息苦しさ」を訴えるようになる人が一定数います。

 実は、猫背と「息苦しさ」の関係については、いくつか医学的な研究もされていて、関連性の深い事がわかっています。しかし、いちばん息苦しくなりやすい姿勢は猫背ではありません。胸を張ったまま固まった姿勢、「胸つきだし姿勢」が一番息苦しくなりやすいのです。

 胸を張ると息苦しくなる原因は2つあります。一つは肋骨が動かなくなる事です。下の図を見てください。

胸を張ると肋骨が狭くなる

 図左の正しい姿勢の場合、肋骨の間には適度なスキマがあります。 しかし、図右のように胸を張って胴体が上に持ち上がると、肋骨のスキマは上下に圧迫され狭くなってしまいます。 すると、呼吸に合わせて肋骨がうまく可動しなくなり、その結果として息苦しくなってしまうのです。

 もう一つの原因は、お腹(正確には横隔膜)の筋肉がうまく働かなくなるからです。 これは、実際に体感してみた方が早いですから、次の事をやってみましょう。まずは、わざとからだを丸めて呼吸してみて下さい。意識をすれば、呼吸に合わせてお腹の働いている事がわかるはずです。では今度は、大きく胸を張ったまま呼吸してみましょう。すると先ほどと比べて、お腹にうまく力の入らない事がわかります。

 このように、胸を張ると腹筋の力がうまく働かなくなり、効率のよい呼吸できなくなる為、その結果として息苦しくなってしまうのです。

まとめ

 最後にまとめです。

  • 猫背になると肩・首こりになりやすい。
  • あごが上がると後頭部が挟み込まれる事で頭痛になりやすい。
  • 反り腰になると腰にストレスが集中して腰痛に。
  • からだが反ると下半身の循環機能が低下してむくみ・冷えがおきる。時に足がしびれる事も。
  • 悪い姿勢になるとお腹の圧力が低下して、下痢や便秘になりやすい
  • 悪い姿勢になるとからだのバランスが崩れるために緊張して疲れやすくなる
  • 胸が上がると肋骨のすきまが狭くなり息苦しくなる

 これら紹介した症状は、悪い姿勢により典型的に引き起こされる症状です。そして、これら以外にも関係すると思われる症状は多数あります。このように見ていくと、姿勢矯正をする本当の意義は、見た目の改善という事より、からだを健康にする事であるのが、おわかりいただけると思います。

ここまで健康と姿勢との関係をおおざっぱに紹介しましたが、さらに詳しく知りたい方は、以下の各論も参照して下さい。

- 詳 細(各 論) -

 下二つの項目のアンチエイジングとダイエットへの効果は、姿勢矯正よる副次的効果を解説しています。



補足メモ

  • ※1 無作為に抽出した300人の患者さんの姿勢を数値化し、問診・検査による症状との相関関係を統計分析
  • ※2 参考資料 カイロプラクティックマネジメント(エンタプライズ社):緊張性頭痛 p251 / THE CHIROPRACTIC REPORT NO5
  • ※3 座っている時は、逆に腰が丸まっていると腰痛になりやすくなります。腰への負担は腰を反りすぎても、丸めすぎも、同様なのです。腰を丸めるのがいけない理由は別の章で解説したいと思います。
  • ※4 正確にはやや背筋優位になっています。
  • ※5 ここでは、腰の反りが悪い姿勢による腰痛の原因としましたが、この事以外にも腰痛に深く関わっている要素があります。それが、「バランスの悪い」悪い姿勢という概念です。これについては別章で解説予定です。
  • その他の参考文献
  • ・カッパンディ3 関節の生理学 (医歯薬出版) p146
  • ・カイロプラクティックマネジメント(エンタプライズ社):椎間関節症候群p162
  • ・カッパンディ3 関節の生理学(医歯薬出版) p146
  • ・基礎運動学 (医歯薬出版) P301/アレクサンダーテクニック(誠心書房)p238
  • ・アレクサンダー・テクニークの学び方(誠心書房)P103/カッパンディ3(医歯薬出版)p144
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