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Q16:息苦しさと姿勢との関係

 以前から深く呼吸できない事を悩んでいます。最近は普通に呼吸をしていても息苦しく感じてストレスです。腹式呼吸が良いと聞いたので練習してみたのですがうまくいきません。色々調べてみて、猫背になると呼吸が浅くなるという事を知りました。私自身は猫背ではないのですが、今後の参考までに呼吸と姿勢の関係についてお教え下さい。

-お答え-

 姿勢と呼吸との間には深い関係性があります。例えば猫背になると、胸郭(肺を含む肋骨で囲まれた空間)がいびつになる為、呼吸機能が低下する事はいくつかの研究でも明らかになっています。しかし、実際に息苦しさで悩んでいる方の多くは、猫背ではなく「胸つき出し姿勢」の方です。

胸を張った姿勢、胸突き出し姿勢

 上の図のような胸を張った状態で固まった姿勢を「胸つき出し姿勢」とここでは呼んでいます。図からもわかるように見た目に悪い姿勢ではありませんから、他人から指摘される事もあまりなく、本人も姿勢の悪い事にあまり気付きません。しかしそれでも、悪い姿勢であるのは事実なのです。

 では、「胸つきだし姿勢」の何が問題なのでしょうか。もちろん見た目ではありません。問題は、からだに大きなストレスがかかる点です。特に首から背中にかけてに大きなストレスがかかり、肩こり・頭痛・背部痛などに悩まされやすい姿勢なのです。

 そして、もう一つ典型的に引き起こされる症状が「息苦しさ」です。もちろん猫背になっても呼吸機能は低下しますが、それは多くの場合「息苦しさ」を常に感じるほどにはなりません。しかし「胸つき出し姿勢」の場合、自覚的に息苦しさを感じる程になりやすいのです。

 そうなる原因は、特徴的な背中の変形にあります。多くの方は「胸を張る」事を「せすじ」を伸ばす動作だと考えていますが、実際はそうではありません。実は胸を張るという動作は、「胸を上に持ち上げる動作」なのです。 図で見てみましょう。

胸を張る動作解説

 上図は、背中の丸まった状態(図左)から、胸を張った姿勢(図右)への変化を示した模式図です。 図中の直線の交わる角度に注目して下さい。この角度は背中の丸まり具合を示しています。両者を比べるとほぼ同じ角度である事がおわかりいただけるでしょうか。つまり、胸を張っても背中の形は変化せず、胸が上に突き上がるだけなのです(※胸を張る姿勢について詳しくはこちらで解説しています)。

 そして、胸が上に突き上がると、呼吸に関わる3つの問題が発生します。それらを列挙してみましょう。

胸の肋骨が狭まってしまう
胸を張ると肋骨が狭くなる
 胸が突き上がると、胸側の肋骨は上下に圧縮されます(上図参照)。その為、肋骨の動きは阻害されて、呼吸が浅くなります。狭まりが強いと、息苦しさだけでなく首の前から鎖骨近辺にかけて圧迫感を感じるようにもなります。

肩甲骨が背中に寄って、肋骨の動きをプロックしてしまう
肩甲骨が背中に寄ってしまう
 胸を張ると、肋骨は背中に引き寄せられます。肩甲骨とは背中に付着している三角形の骨です。上図は、からだを上から見た肩甲骨の位置を示しています。背中に引き寄せられた肩甲骨は、肋骨の動きを妨げて呼吸機能を低下させます。この状態は、いかり肩の方に頻繁に見られます(※いかり肩について詳しくはこちらで解説しています)。

肩の筋肉で呼吸するようになる
 胸が突き上がると、必ず反り腰にもなります(※反り腰について詳しくはこちらで解説しています)。反り腰になると腹筋の働きは弱められ、呼吸運動の主力である横隔膜の働きも弱まります。するとその変わりに、胸から肩の筋肉が呼吸運動の主力として働くようになります。しかし、肩周りの筋肉は主力として働くには力不足ですから、その結果、呼吸は浅くなってしまうのです。呼吸時に肩が大きく上下してしまうような方は、このケースに該当する可能性が高いと言えます。


 以上、胸を張った姿勢である「胸突き出し姿勢」になると息苦しくなる理由を解説しました。質問者の方のように息苦しさを感じているような方は、姿勢が悪いと自覚がなくても一度自分の姿勢をチェックして見るとよいでしょう。猫背でなくとも「胸突き出し姿勢」である可能性は十分あるからです。

 「胸つき出し姿勢」による息苦しさを改善する簡単な方法は、「息苦しい時は、むしろからだを丸めるようにする」事です。私が見た所、息苦しさに悩んでいる方ほど、深く呼吸をしようとして逆に胸を張っている傾向があります。これは、子供の頃から慣れ親しんだラジオ体操の深呼吸のポーズが胸を張るポーズに似ている事が関係しているのかもしれません。しかし理屈から考ると、息を吸う時は、胸を張らずに肩と首を脱力させて少しからだを丸めた方が、肋骨が緩んで横隔膜も働きやすくなり、楽にできるのです。

 それでも改善されない方は、根本的な原因を取り除く為に姿勢矯正をする事をおすすめします。まずはこちらで紹介しているエクササイズにチャレンジしてみましよう。うまく姿勢が矯正されれば、胸の前が軽くなった感じがしてきて、次第に呼吸が楽になってくるはずです。


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