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肩の痛み(四十肩・五十肩)と姿勢

 肩を動かすと鋭く痛む状態を四十肩・五十肩といいます。専門的には頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)と言われる症状です。

 主な原因は、スポーツなどで無理に肩を動かしたなどの「ケガ」ですが、特に何もしていないのに「いつのまにか」そうなる場合も少なくありません。実際、私の治療室に四十肩・五十肩で来院される半数程度の方は、原因もなく「いつのまにか」なった方です。

 このように原因もなく四十肩・五十肩になってしまうのは、肩に蓄積された疲労が原因だと考えられています。つまり、疲労が上限まで蓄積されると、ある日突然「痛み」に変化するというわけです。その為、老化が主な原因とされていて、さらに四十〜五十歳ぐらいから発症する事が多い事から、四十肩・五十肩と言われるようになったというわけです。

 確かに二十〜三十歳でそうなる方は少ないですから、老化は大きな要因だと言えるでしょう。しかし私自身は、「悪い姿勢」も重要な要因ではないかと考えています。実際、私の治療室では姿勢矯正をした後に四十肩・五十肩も合わせて改善してしまうケースは珍しくありません。

 そこでここでは、悪い姿勢と四十肩・五十肩の関係について詳しく解説していきます。

肩甲骨は肩の働きの「かなめ」

 悪い姿勢になると四十肩・五十肩になりやすくなる原因は、悪い姿勢になると肩甲骨の働きが妨げられる事にあります。

肩甲骨

 上は、背中にある肩甲骨を示した図です。図を見てもわかるように、肩甲骨は背中に張り付いた三角形の骨で、端の部分で腕の骨と接続して関節をつくっています。つまり、肩甲骨の位置がずれると肩の位置もずれてしまうわけですから、肩の働きを正常に保つ上で肩甲骨の「位置」は重要なポイントだと言えます。

 又、肩甲骨の「動き」も重要です。例えば「腕を上げる」という動作では、肩甲骨自体が回転する事で半分程度の動きを補っているのです。このように肩甲骨は、肩の働きにおけるまさに「かなめ」だと言えます。

悪い姿勢が肩甲骨を外側に押し出す

 では次は、悪い姿勢がどのように肩甲骨の働きを妨げるのか、具体的に見ていきましょう。まずは下の図をご覧ください。

正常の肩甲骨の位置

 上図は、からだを上から見た肩甲骨の正しい位置です。図を見ると、からだの側面中央に肩関節(図中の丸の部分)が位置するように、背中のやや外側に肩甲骨は位置している事がわかります。

 では、これが悪い姿勢になるとどのように変化するのか、まずは猫背を例に見ていきましょう。猫背とは背中の丸まった姿勢です。背中が丸まると、背骨は「くの字状」になり後ろに押し出さるように動きます。

猫背になる事で押し出される背中

背骨が背中側に押し出されている

 上は猫背になると背骨がどのように動くかを示した図です。図中の直線は背骨、三角は肩甲骨を示しています。左の正しい姿勢では、背骨も肩甲骨もからだの中央に位置していますが、右のように猫背になると、背骨は背中側に押し出されて、肩甲骨は相対的に前にずれたような状態になります。

猫背になると肩甲骨は外側にずれる

 上図は、猫背により肩甲骨のずれる方向を示しています。図を見ると、肩甲骨は単純に前にずれたわけではなく、背中の形に沿うように「外側」に移動した事がわかります。いわゆる「巻き肩」と言われる状態です。このように肩関節の向きが前を向いてしまうと、動きに制限がかかってしまい強いストレスがかかるようになります。

肩甲骨が内側にずれるケースも

 肩甲骨は外側だけでなく、内側にずれる場合もあります。それは姿勢が「胸つき出し姿勢」だった場合です。胸つき出し姿勢とは、胸を張ったまま固まった姿勢の事です(※詳しくはこちらで解説しています)。

胸つき出し姿勢

 胸を張る動作には背筋の強い緊張が伴います。背筋の緊張は、肩甲骨を引き上げて背中側に引き寄せるように働きます。

胸を張ると肩甲骨は内側にずれる

 上図は、背中が緊張した事で肩甲骨が背中に引き寄せられている状態を示しています。図を見ると、肩関節の向きは外向きを維持していますから、外側にずれた場合と比べて問題ないように思えるかもしれません。しかし、問題なのは「動き」のほうです。肩甲骨を引き寄せるほどの背中の緊張は、肩甲骨の動きを大きく制限してしまいます。その結果、やはり肩のストレスは増大してしまうのです。

四十肩・五十肩の予防と改善法

 以上、悪い姿勢になると肩甲骨の働きが妨げられるしくみを解説しました。このような問題は、すぐに四十肩・五十肩をひきおこすほど重大ではありません。しかし、肩にかかる日々のストレスは確実に増大しますから、四十肩・五十肩になるリスクは時とともに大きくなると私は考えています。

 肩甲骨の働きを正しくするには、その根本的な原因である悪い姿勢を矯正するのが最適であるのは間違いありません。しかし、姿勢矯正には少なくとも数ヶ月は必要となりますから、ここでは即効性のある簡単な予防法も紹介しておきましょう。

 その予防法とは、「肩を動かす時、腕全体を引っぱる力を少し加えるようにする」という方法です。「腕全体を引っぱる力」とは「長軸方向の力」と専門的には言います。下の図を参考にしてください。

長軸方向の力を加えると関節の負荷が軽減される

 この力を少し意識するだけで、関節にかかる負荷をあるていど軽減する事ができます。よくわからない方は、実際にやってみましょう。まずは、普通に腕を上に上げます。いわゆる「はい」のポーズです。この時の肩にかかる負担の程度をよく覚えておいてください。次に、先ほど紹介した「腕全体を引っぱる力」を意識しながら同じように腕を上げてみてください。この力は「遠くの物を手でとろうとする時に腕全体を伸ばそうとする時の力」とほぼ同じです。うまく出来れば、先ほどと比べて明らかに肩の負担の少ない事がわかるはずです。

すでに四十肩・五十肩である場合は?

 残念ながらすでに四十肩・五十肩である場合、まずは症状の改善を最優先する必要があります。その為に一番重要となるのは、「安静」です。もちろん、痛みを和らげる為に薬や湿布を使ったり、ひどい時はお医者様に見てもらうのも大切でしょう。しかし結局の所、四十肩・五十肩は「肩のケガ」であり、ケガを治すには、からだの治癒力にまかせるしか最終的に方法はないのです。そして、その為には「安静」が一番です。

 注意すべき事は、痛みのある段階から無理に肩を動かそうとしない事です。肩は自由に動く反面、一旦ケガをすると他のからだの部位と比べて治癒するまでに時間のかかる傾向があります。ですから、あせって痛みのある段階から無理に肩を動かすと、かさぶたをひっかいてしまった時と同様に逆に傷口を広げる結果となり、症状は悪化してしまいます。

 そこで痛みが落ち着くまでは、無理に肩を動かすのは控えるようにして下さい。そうして我慢していれば、多くの場合数週間程度で痛みは和らいでくるはずです。そしてそれから、まずはやさしいストレッチから初めて、改善に合わせてリハビリしていくのが合理的で良い方法だと思います。

 ちなみに姿勢矯正のエクササイズは肩への負担が大きいので、完治するまで行なわない方が無難です。しかし、施術による姿勢矯正であれば、肩への負担がないだけでなく治癒も早めますので、すでに四十肩・五十肩の方にもオススメします。

まとめ

 最後にまとめです。

  • 「いつのにか」四十肩・五十肩になってしまうケースは少なくない。
  • 悪い姿勢と四十肩・五十肩の間には深い関係性がある。
  • 悪い姿勢は肩甲骨の働きを妨げて、肩のストレスを強める。
  • 四十肩・五十肩の予防として姿勢矯正はオススメ。又、「腕全体を引っぱる力」を意識しながら肩を動かすと負担が減る。
  • すでに四十肩・五十肩である場合は、まずは肩の痛みを改善を第一に、一定期間の安静を。

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